開業医って実際どんな生活を送っているのかなぁ?
実際に開業している人の生の声って聞けないのかなぁ?
こんなレアなお悩みに対する記事です。
✅ 経歴:初期研修2年→勤務医10年→フリーランス2年→開業
✅ 家族:妻 年子2人(一姫二太郎:6歳と4歳)
✅ 趣味:ランニング(フルマラソンベスト:2時間51分)
✅ 座右の銘:良心に恥じぬことが確かな報酬
今回の記事の結論です。
✅ 売上:緩やかに増加も赤字
✅ 戦略:広告増加と丁寧な診療
新米開業医の告白|開業4ヵ月目のリアルな現状
開業は開業してからが本当の始まり
開業して4ヵ月が過ぎ、改めてこの言葉の重さを感じている毎日。
とは言うものの、開業するまでも正直大変でした。
- 土地探し(2年かかりました)
- クリニック設計
- 外装・内装デザイン決め
- 融資の相談
- 大型医療機器の選定と購入
- スタッフ雇用の面接面談
- 借地契約のやりとり(価格交渉)
- 近隣医療機関への挨拶回り
- 内覧会準備
ざっと挙げただけでもこれだけで、細々したものを含めると本一冊書けるレベルです。
私の開業スタイルは次の通りです。
✅ 開業場所:地元
✅ 開業スタイル:落下傘
✅ スタッフ:院長(私)副院長(妻)看護師3名 事務2名
✅ 診療科目:泌尿器科など計4診療科
✅ 開業時期:2023年冬
開業1ヵ月目の現状については、こちらの記事をご参照ください。
さて、今回の記事は新米開業医が開業して4ヵ月が経過したリアルな現状を報告した内容になります。
株の記事が続きましたので、箸休め程度に肩の力を抜いて読んで頂ければ幸いです。
患者数
落下傘での開業ということもあり、開業当初は多くても1日20人程度だった患者数。
開業して4ヵ月が過ぎ、平日では約30人の患者数となり、土曜日や休日明けでは40人以上来院される日も出てきました。
開業して2ヵ月目あたりで、クリニック自体の存在が認知されていないことを感じ、
- 看板設置
- 新聞広告と記事掲載
- フリーペーパー広告
といった広告を大幅に増やした影響とも考えています。
私の専門は泌尿器科ではありますが、これまでの臨床経験を活かす上でも内科も標榜しました。
内科の標榜効果もあってか、
- 高血圧や糖尿病などの生活習慣病
- 発熱(コロナ、インフルエンザ、溶連菌など何でも)
- ワクチン(肺炎球菌から子宮頚癌まで何でも)
- 慢性咳嗽
- 男性更年期
- 性病(特に梅毒)
- 不眠などのお悩み
- 皮膚のトラブル
- 便通のお悩み
- 頭痛や肩こり
など多種多様な訴えをもった患者さんがクリニックを訪れてきます。
- 宣伝広告による認知度の向上
- 内科標榜による裾野の拡大
が患者数の増加に寄与していると推定している一方で、個人的に一番大きな要因は、
- クチコミ
と感じています。
- 友人から紹介された
- 家族から紹介された
- 知り合いから紹介された
という声を患者さんから聴くと、「有り難き幸せ」という気持ちで胸がいっぱいになります。
ちなみに、妻(副院長)もクリニックで別診療科を標榜して働いています。
自由診療が中心なので、そこまで患者数は増えていません。
しかし、自由診療の単価が非常に高いため、「自由診療って利益が出やすいのだなぁ」と横目で見ている状況です。
売上
具体的な金額は公表できませんが、患者数の増加に伴い、徐々に売上も増加基調です。
しかし、
- 利益=売上ー経費
であり、経費が売上をまだまだ上回っている状況、いわゆる赤字運営は続いています。
経費の中で一番大きいのは、スタッフの給与になります。
雇用する立場になって、雇用される側がどれだけ守られているかを日々痛感しています。
4ヵ月が経過して赤字運営が続いているとは言え、開業された先輩方の話を聞いていると、
- 患者さんを大病院から大勢引き抜いてきた
- 近隣のクリニックがたまたま廃院した
等の例外を除き、クリニック運営がたった数ヶ月で黒字化することは稀とのことです。
慰めのためにやさしい嘘をついてくれてるのかもしれませんが、この言葉を聞いて少し安心しているのが正直なところです。
売上や利益の向上はクリニック運営において重要課題の一つではあります。
しかし、医療機関と他の営業分野では少し目線が異なるように感じています。
利益ばかり追い求め、不要な検査や投薬などを行うことは本末転倒であり、それこそお金をいくら積んでも得られない信頼を失うことになりかねません。
患者さん、患者さんのご家族、そしてクリニックに関わる全ての方が心穏やかな日々を通じて豊かな人生を送る一助になること
自分自身で考え抜いて出したクリニックの理念。
これを毎日の診療前にに暗唱しています。
そうでもしないと、赤字という数字にプレッシャーに押しつぶされそうになるからです。
ちなみにですが、売上等の計算は顧問税理士さんに依頼して月次報告を作成してもらっています(もちろん有料)。
とは言え、月次報告に必要な資料をまとめるのは院長の仕事。
- 日報(日々の患者数や売上)
- 預金口座の出納帳
- 国保および社保毎の診療報酬
- スタッフの給与や税金
- 様々な支出台帳(医薬品費、消耗品、広告費など)
毎日少しずつ整理しておかないと、本当に地獄をみます。
これから開業や個人事業主になろうと考えている方へ。
まずは家計簿をしっかりつける練習を強くオススメします。
そして、可能であれば簿記3級レベルの知識は必須です。
戦略
開業当初と根本的にクリニックの運営戦略は変更していません。
兎にも角にも、
- 来院された患者さんに丁寧な診察と対応をする
- スタッフを含めクリニックを支えてくれる方々へ日々感謝する
- 毎日必ず診療を振り返る
ということを日々続けているのみです。
もちろん、医師としての技術向上を怠るわけにもいきませんから、スキマ時間で英語医学雑誌のPodcastを聴いたり、オンラインセミナーを聴講したりということは継続しています。
小さな子ども2人を育てながらではありますので、本当に時間の捻出には苦労しています。
言い訳がましいですが、今こうやってブログを書いている時間も減らさざるを得ない状況になり、更新頻度も落ちてしまっています。
貴重な読者の皆様方には、大変申し訳なく思っております。
まとめ
まとめにはいります。
✅ 売上:緩やかに増加も赤字運営
✅ 戦略:患者さん・スタッフを大切に
人生でもクリニック運営でも必ず成功するという方法はないと常々考えています。
そもそも、「成功」をどのように定義するかは個々人で異なるため、一概にクリニック運営を論ずること自体が無理と考えています。
あくまでも、今回の内容はとあるクリニックの現状であり、どのクリニックも同じ状況ではありません。
しかし、開業医という立場のみならず、個人事業主として今まさに一歩を踏み出そうとしている方や既に踏み出したばかりの方々にとって、何かしらの気づきがわれば本望です。
今日も最後までありがとうございました。
【おすすめ書籍】
開業前に様々な経営論などの書籍を読みましたが、自分の中で一番参考にしている書籍がこちらですね。新品ではなく中古でしか在庫がない状況かつ、かなり値段も高くなってはいますが、これから個人事業主として人生を歩もうとされている方は、自分の軸を形成する上でも必ず役にたつ書籍と断言します。