最近S&P500よりすごい成績を出すファンドが出たらしいよ!
確か鳥貴族とかいう名前のファンドじゃなかったっけ?
そうそう!焼き鳥とインバウンド需要で儲かっている・・・。ちゃうで!
こんなお悩みに対する記事です(記事の内容は真面目です)。
✅ 投資スタイル:
①コア:インデックス(全世界&全米)
②サテライト:高配当(日本個別株&米国ETF)
③おまけ:グロース(日本個別株)
✅ 家族:妻と年子2人(一姫二太郎:5歳と4歳)
✅ 趣味:ランニング(フルマラソン27回完走)
✅ マラソン自己ベスト:2時間51分10秒
✅ Tracers S&P500配当貴族インデックスの罠
Tracers S&P500配当貴族インデックスファンド
今回、日興アセットマネジメントから新たにファンドが生まれました。
それが、Tracers S&P500配当貴族インデックスファンドです。
設定日は2022年10月28日なので、生まれたてホヤホヤですね。
配当貴族インデックス
一見するとなんとも怪しい雰囲気を醸し出すファンド名。
しかし、S&P500配当貴族インデックスは歴史のある指数で、連動するETF(NOBL)もあります。
今回はSNS等で話題になっている配当貴族インデックスについて、
- ファンドの概要
- ファンドに潜む罠
について順番に解説していきます。
Tracers S&P500配当貴族インデックスファンドの概要
Tracers S&P500配当貴族インデックスファンド(以下、配当貴族ファンド)の概要について順番に解説していきます。
S&P500配当貴族とは?
(引用:日興アセットマネジメント)
Tracers S&P500配当貴族インデックスファンド(以下、配当貴族ファンド)は、
- S&P500配当貴族というインデックスに連動したファンド(投資信託)
になります。
S&P500配当貴族インデックスはS&P500構成銘柄のうち、
- 連続増配25年以上
- 優良大型株(時価総額30億ドル以上)
- 高い流動性(1日平均売買代金500万ドル以上)
を均等荷重方式*で集めたものです。
*用語解説:会社の規模にかかわらず平等に割り振る方式。
(例)A社:時価総額50円 B社:時価総額30円 C社:時価総額20円
100円を投資し振り分ける際:
・時価荷重方式:A社50%(50円) B社30%(30円) C社20%(20円)
・均等荷重方式:A社33%(33円) B社33%(33円) C社33%(33円)
2022年7月末時点で64銘柄で構成されています。
また、
- 構成銘柄の見直し:1年に1回
- 構成比率の見直し:1年に4回
という定期メンテナンスを行ってくれます。
細かい点を補足しますと、
- 連続増配銘柄数が40未満であれば増配年数25年未満の銘柄も組み入れる
となっており、最低でも40銘柄に分散されるということになります。
運用成績
(引用:日興アセットマネジメント)
1999年を100として2022年7月末時点での運用成績です。
- S&P500配当貴族:約1,000(10倍)
- S&P500:約500(5倍)
これだけ見ると、
何これ!めっちゃいいじゃん!!eMAXIS slimなんか買ってる場合じゃない!!!
となりそうですね。
しかし、次のグラフをご覧ください。
- 青色:S&P500配当貴族インデックス連動ETF(NOBL)
- 赤色:S&P500インデックス連動ETF(VOO)
直近10年間で両ETFの成績を比べると、むしろVOOの方がリターンが大きいです。
日興アセットマネジメントが出しているグラフは、1999年がスタートラインです。
翌年の2000年にITバブル崩壊が起こり、グロース株が苦境の時期に立たされていた期間の直前がグラフのスタートとなっています。
証券会社の資料(特にグラフ)は、会社側にとって有利に見えるように操作されている点は重々注意が必要です。
コスト
- 購入時手数料:無料(ノーロード)
- 信託財産留保額(≒解約手数料):無料
- 信託報酬:0.1155%
となっています。
みんな大好きeMAXIS Slimシリーズの信託報酬は、
- eMAXIS Slim S&P 500:0.0968%
- eMAXIS Slim 全世界株式:0.1144%
ですので、配当貴族インデックスファンドも低コストではあります。
ただし、新しいファンドには隠れコストがある場合もありますので、この点も注意が必要です。
新規ファンドに潜む罠
投資の大原則をおさらいしておきましょう。
- 長期
- 分散
- 積立
- 低コスト
ですね。
Tracers S&P500配当貴族インデックスは、
- そこそこ分散
- 低コスト
- 歴史のある指数に連動
ということで、窓口で売られているようなボッタクリファンドではありません。
しかし、あくまでもS&P500というインデックス指数の成績を上回る目的で作られたファンドであり、いわゆるアクティブファンドに分類されます。
名著「敗者のゲーム」でも述べられていますが、
- インデックスファンドに勝てるアクティブファンドは10%未満
という過去の歴史を忘れてはなりません。
新規ファンドが生まれた時、すぐに飛び乗るのではなく、
- そのファンドの内容
- なぜこのようなファンドが生まれた背景
を知ることが何よりも重要です。
こちらのグラフをご覧ください。
青色:S&P500配当貴族インデックスETF(NOBL)
黄色:S&P500インデックスETF(VOO)
2022年に入ってから、
- ロシアウクライナ問題
- サプライチェーン混乱
- コロナバブル崩壊
- 歴史的インフレ&金利上昇
などが重なり、米国株式、特にハイテクグロース株はボコボコにされています。
このような状況の中で健闘しているのが、バリュー株や高配当株です。
VOOが年初来−17%も下げている一方、NOBLは-5.98%と比較的落ち着いています。
ここで思い出してください。
2021年、ナスダックにレバレッジをかけたファンド、いわゆるレバナスがSNSで話題になっていた時の状況を。
- GAFAMを代表するグロース株がグングン伸びて
- 米国株の書籍がバカ売れして
- FIREブームがわき上がっていた
こんな状況でしたね。
流行にのって新しいファンドが生まれるときは、既にその流行は天井です。
相場は必ずサイクルします。
永遠にグロース株が優位ということもなく、バリュー株が優位ということもありません。
しかし、
- いつ
- どのタイミングで
- どれくらいの期間
グロースとバリューのどちらが優位になるのかは誰にも分かりません。
まとめ
Tracers S&P500配当貴族インデックスは、決してボッタクリファンドではありません。
しかし、
- 購入タイミングを考慮せず
- 長期で定期分散購入する
という投資スタイルであれば、あえて選択するファンドではありません。
往々にして新しいファンドが生まれるタイミングは、相場の転換点が近いことを示唆しています。
何事においても流行を追いかけるのは楽しいものです。
しかし、堅実な資産形成とは流行廃りに関係なく、長期にわたって愚直に地味な積み重ねを続けるものです。
ウォーレン・バフェット氏の名言を添えておきます。
なんでみんな自分の真似をしないかって?
ゆっくり金持ちになりたい人なんていないからだよ。
今日も最後までありがとうございました。
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