決算短信って何書いてあるかわからないよね・・・
ページも多くてどこを見たらよいかもわからないよね・・・
こんなお悩みに対する記事です。
✅ 投資スタイル:
【コア】インデックス(全世界&全米ETF)
【サテライト】高配当(日本個別&米国ETF)
【おまけ】グロース(日本個別)
✅ 家族:妻 年子2人(一姫二太郎:6歳と4歳)
✅ 趣味:ランニング(フルマラソン28回完走)
✅ 本業:某クリニックの院長
✅ 座右の銘:良心に恥じぬことが確かな報酬
今回の記事の結論です。
✅ 経営方針
決算短信で必ず見るべきポイント2選
決算シーズンが始まると、
- 増収かつ増益
- 減益かつ減配
- 過去最高益を更新
- 自社株買い発表
など、投資家の心をゆさぶるフレーズが、ネットやSNSで賑わいますね。
もちろん、決算短信に記載されている数字も非常に大切ではありますが、数字以上に注目すべき点が、決算短信には隠れています。
決算短信の中に隠れたポイントに着目できるかどうかで、個人投資家としてのレベルに格段の差が生まれます。
今回の記事では、日本を代表する企業の一つである「信越化学工業」の決算短信を例にして、解説していきます。
今回の記事を読むことで、
- 数字では表れない企業本来の価値を見抜く力
- 株価や指標に捕らわれない投資判断軸
が強化できますのでぜひ最後までおつきあいください。
決算短信とは
そもそも決算短信とはなんでしょうか?
ざっくり言いますと、企業が四半期毎(3ヵ月毎)に出す営業成績を示したものです。
学校の成績表や通信簿みたいなものだと考えてもよいでしょう。
それでは、実際の決算短信を見てみましょう。
2023年4月に発表された信越化学工業の決算短信です。
こちらが1ページめになります。
はい。
訳の分からない単語と数字の羅列で、吐気と眠気がしてきますね。
ある程度勉強すれば、決算短信に書かれている内容は理解できるようになりますが、今回の記事では数字や単語の解説は割愛します。
しばらくページをめくると、次のようなページがでてきます。
この添付資料の中で赤丸で囲った部分、
- 今後の見通し
- 経営方針
に企業の思いが込められているのです。
今後の見通し
タイトルの通り、企業が未来に対してどのような予見を立てているかを知る箇所になります。
信越化学工業の決算短信に書かれている内容を抜粋します。
今年に入ってから起きた事象及び起きつつある事態に鑑み、現時点で 2024 年3月期
の業績予想を合理的に行うことはむずかしいと判断し、連結業績予想は一旦未定とし
ました。
今後、連結業績予想の開示が可能となった時点で、速やかに開示します。
日本を代表する企業でも、
- 歴史的なインフレ
- 米国銀行の破綻
- ロシア・ウクライナ紛争の泥沼化
- 景気後退懸念
など、2023年を取り巻く問題を目の前にして、業績予想を立てることは難しいということです。
逆に、「中途半端な業績予想は出さない」という信越化学工業の強い意志を感じられます。
この文脈からも、企業の誠実性がうかがえますね。
経営方針
続いて経営方針です。
こちらも決算短信から一部を抜粋して引用します。
当社の目指すところは、素材と技術によって他の追随できない価値を社会と産業のた
めに生み出し、株主の皆さまのご期待にお応えしていくことです。
そのために、顧客や産業の課題解決に資する製品を数多く開発しています。
同時に、世界最高水準の技術や品質の 追求とともに生産性の向上に絶え間なく努めな
がら、世界中の顧客に安定的に製品供給を行っています。
人間社会の持続的な発展とその質の向上を、環境負荷を抑えつつ実現する必要性の高
まる今日、効率を極めることが必須です。
そのために当社が担い、果たせる役割は大きいと 信じています。
当社の多くの製品がこうした目的に資するように、そして当社製品が用いられれば用
いられるほど産業と人々の暮らしに貢献できるというように取り組み、世界の産業と
人々の生活を支えるエッセンシャルサプライヤーとしての役割を果たしていきます。
正直、この文章を読んで涙がでました。
日本にこんなすごい企業があるんだなぁと。
カリスマ的な会長であった金川千尋氏が昨年永眠されましたが、その魂は企業にしっかりと根付いている印象を強くもちます。
続いて経営指標の欄を抜粋したものです。
中長期的な会社の経営戦略目標とする経営指標は、年次ごとの増収、増益です。
当社の主要製品の中には、市況をはじめとした事業環境の変化の影響を受ける製品が
あります。
短期間で急変しうる市況の中で各事業の経営を行うためには、外部環境の変化に速や
かに対応していくことが 必要です。
当期再び最高益を大きく更新しました。
新たな高みを目指して、事業の成長に取組みます。
そのためにも、当社製品がより広くより多く社会と産業に用いられるよう、注力して
いきます。
年次毎の増収、増益。
株主にとって、これ以上心強い言葉はありませんし、企業側としても相応の自信がないと書けません。
なんと、信越化学工業は過去25年間で3回しか減益していません。
過去の実績に裏付けされた、企業のもつ価値がにじみ出てきますね。
まとめ
まとめにはいります。
✅ 経営方針
今回は信越化学工業を例にあげました。
他にもすばらしい決算短信や決算資料説明を出している企業は数多くあります。
数字だけは分からない、企業の思いが決算短信には隠れています。
忙しくて決算短信を読む暇がないという方でも、
- 今後の見通し
- 経営方針
の2カ所だけは抑えておきましょう。
今日も最後までありがとうございました。
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