リバランスは大切って聞くけど、やり方がよく分からない・・・。
リバランスって面倒くさそう・・・。やる意味あるのかな?
こんなお悩みに対する記事です。
中堅医師による資産形成レクチャーシリーズも終盤に入りました。
今回のテーマは「ポートフォリオのリバランス」です。
ポートフォリオ(金融資産のバランス)に関しては、前回のレクチャー記事をご参照ください。
✅:リバランスの適切な頻度やタイミング
✅:リバランスの具体的な方法
結論からいきます。
2️⃣:タイミングは時間と心の余裕があるとき
3️⃣:株を売らない(ノーセル)リバランスがおすすめ
ひとつずつ解説していきます。
投資の勝率を2倍にするリバランス方法
インデックス投資の権化であるバートン・マルキール氏とチャールズ・エリス氏による「投資の大原則」という書籍から引用します。
投資期間は1996年から2005年の10年間。
ポートフォリオは株式:債券=60:40。
毎年1回リバランスをした場合:平均リターン=8.46% リスク=9.28%
リバランスをしなかった場合:平均リターン=8.08% リスク=10.05%
リバランスをすれば必ずリターンが増えるとは限りません。
しかし、リバランスにはリスクを減らす効果もあります。
金融投資においては、リスクを抑えてリターンを高くすることが理想です。
適切なリバランスは投資勝率を確実に向上させます。
仮にリターンが増えてリスクも減れば、投資勝率は2倍になりますね。
続いて、
①:リバランスそのものについて
②:リバランスの頻度やタイミング
③:リバランスの具体的な方法
について説明しますね。
リバランスとは?
リバランスとは、設定した金融資産の比率(以下:ポートフォリオ)のバランスが崩れていないか確認し修正する作業です。
仮にポートフォリオを「株式:現金=50:50」と設定したとします。
株価が高騰したため「株式:現金=60:40」となった場合は、
A:株式を減らす(株を売る)
B:現金を増やす(貯金を増やす)
AまたはBによって「株式:現金=50:50」の比率に戻します。
株価が下落したため「株式:現金=40:60」となった場合は、
C:株式を増やす(株を買う)
D:現金を減らす(貯金を減らす)
CまたはDによって「株式:現金=50:50」へ調節します。
まとめます。
リバランスで行う作業は4パターンになります。
①:株を購入する
②:株を売却する
③:貯金を増やす
④:貯金を減らす
4パターンのうち、おすすめのリバランス手法は次の2つです。
①:株を購入する
③:貯金を増やす
具体的な方法等についてこれから説明しますね。
リバランスの頻度やタイミング
リバランスの頻度は半年から1年に1回が推奨されています。
私も1年に1回の頻度でリバランスを行っています。
実際のところ、よほどの暴落やバブルではない限り、大幅にリバランスを行うことはほとんどありません。
リバランスというより、ポートフォリオの現状確認という意味合いが大きいです。
「ちょっとリスク資産多すぎたかな」
「少し貯金が多すぎかな」
といったように、1年に1度のポートフォリオ見直す機会としてリバランスを行う意義はありますね。
一方で、リバランスのタイミングに関しては正解はありません。
しかし、年末年始や年度変わりなどの慌ただしい時期のリバランスは避けましょう。
リバランスという行為は、自らのポートフォリオを客観的に評価し、冷静沈着に行うべきです。
個人的には行事の少ない季節に行うことをおすすめします。
リバランスの具体的なやり方
リバランスと一言にいっても様々な方法があります。
また、資産の種類(株式、債券、金、コモディティーなど)が増えるほど、リバランスは煩雑になります。
投資初心者の方におすすめするリバランスを方法は次の通りです。
2️⃣:ボーナス(臨時収入)でリバランス用資金を別に貯めておく
3️⃣:株を売らないリバランス(ノーセルリバランス)
これから投資を始めるという前提で具体例を提示します。
注:貯金には利息がつきますが現状ほぼゼロなので無視します。
ポートフォリオとして「株式:現金=70:30」と設定。
月々の投資資金を10万円とします。
毎月の積立は「株式投資7万円、貯金3万円」となります。
年間トータルでは「株式84万円、貯金36万円」になる計算です。
ここで一つ目のポイントです。
貯金とは別に、ボーナス(または臨時収入)をリバランス資金として一定額確保しておきます。
続いて、1年後の状況パターン別に解説します。
パターン①:株価が変わらなかった
1年の前半で株価が上昇または下落し、1年の後半に株価が下落または上昇した結果、株価が振り出しに戻ったような状況です。
株式84万円、貯金36万円ということになり「株式:現金=70:30」ですので、リバランスの必要はありません。
ここで気をつけるべきは、リバランスは細かくこだわりすぎない点です。
仮に「株式:現金=68:32」や「株式:現金=72:28」となった場合、リバランスは基本的に不要です。
放置しても数日で「株式:現金=70:30」に戻ります。
パターン②:株価が暴落した場合
株価が暴落したため、株式の元本84万円が48万円に減ってしまった状況です。
貯金は36万円のままです。
「株式:現金=57:43」ですので、株式比率が下がっています。
ここでリバランス資金で株式を36万円分追加購入します。
結果として株式84万円になるので、「株式:現金=70:30」になります。
リバランスの時点で株価が値下がりしている場合、株を割安に購入できるチャンスということになります。
パターン③:株価が暴騰した場合
株価が暴騰し株式元本84万円が120万円に増えました。
貯金は36万円のままです。
「株式:現金=77:23」ですので、株式比率が上がっています。
このような場合、株を売って貯金に回すというリバランス方法もあります。
しかし、利益が出ている株を売却すると利益分に税金がかかります。
また、株を売却直後にさらに株価が上昇した場合、精神的にもつらくなります。
そこで、株を売却するのではなくリバランス資金を貯金にまわします。
この場合、貯金に約15万円を加えると「株式:貯金=70:30」になります。
リバランスの時点で株価が値上がりしている場合は、株価が割高の状態と判断することになります。
手持ち株の株価が上がっている状況は喜ばしい反面、リスクを取り過ぎるという危険な状況でもあります。
このような状況で一度冷静になり、過度なリスクを減らす意味合いで現金比率を高めておくことが投資で負けないためには非常に肝要です。
いくら優良な企業の株であっても、株価が永遠に上がり続けることはありません。
まとめ:リバランスで航路を守ろう
まとめにはいります。
2️⃣:タイミングは時間と心の余裕があるとき
3️⃣:株を売らない(ノーセル)リバランスがおすすめ
1年に1回の大掃除ならぬ、1年に1回のリバランスによって、投資のリターンを増やし、リスクを減らすという内容でした。
結果的にリバランスが不必要であっても、資産形成の進捗状況を確認する意味合いにもなります。
ここで、インデックス投資の父と言われるジョン・C・ボーグル氏の名言を紹介します。
航路を守れ
本レクチャーの序盤でも説明しましたが、資産形成の目的は人生を豊かにするためです。
投資にのめりこんで、当初の目的や目標地点から違う方向に船をこいでいませんか?
リバランスによって航路がずれていないか確認しましょう。
今日も最後までありがとうございました。
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ポートフォリオは人生そのものです。他人に決めてもらうのではなく、自分の価値観で決めましょう。